このたび、2017年7月29日に開催された第32回世話人会において会長に選任されました 慶應義塾大学医学部 神経内科 の鈴木則宏です。
本研究会は、「老年期の認知症ならびに関連疾患に関する研究発表と情報交換を行うこと」を目的に1986年に設立され、第1回研究会から認知症に関する最新の研究成果を発 表し、情報を発信してまいりました。
認知症は、現在世界で4,700万人以上の人々が直接的にその影響を受けており、2030年までに、7,500万人になると推計され、その数は2050年までに3倍になると考えられています。
また、2010年の認知症ケアに係る世界のコストは6,040億米ドル-世界のGDPの1%-と推計され、2030年には1.2兆米ドル以上とも推計されており、世界の社会的・経済的な成長を減速さ せる可能性があるといわれております。
わが国においても65歳以上の7人に1人、462万人が認知症で、2025年には5人に1人、
約700万人になると予想されています。MCI(軽度認知障害)を加えますと、現状では高齢者の4人に1人が
認知症又はその予備群と見込まれています。
2015年1月27日に発表された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では『認知症は
今や一般的な病気(Common Disease)であり、診療科を越えて連携して対応していく必要が
ある』と発表されました。
本研究会は1986年の研究会発足当時は医師および研究者の会員向けの会でしたが、このような背景から昨年の第30回研究会からは従来の医師および研究者に加え、メディカルスタッフも対象 にした研究発表の場になりました。
今後、本研究会が専門の垣根を超え、認知症を支える様々な職種との情報交換の場となり、認 知症研究および診療の更なる発展に寄与することを目指にしたいと思います。皆様のご参画・ご協 力をよろしくお願い申し上げます。
2017年8月吉日
老年期認知症研究会 会長 鈴木則宏