閉会に寄せて

このたび、老年期認知症研究会は、7月25日に開催されました第39回老年期認知症研究会(中央)をもちまして解散する運びとなりました。
当会は、1961年11月28日、相澤豊三先生を中心とした10名ほどの発起人が集まり、設立(組織化)しました。中央会の下に北海道、東北、中部、近畿、中・四国、九州の6つの地区会を設置(図1)し、中央研究会の各地区世話人がそれぞれの地区の代表世話人を兼務する形をとってまいりました。
図1
設立以来、各地区歴代の世話人の多大なご協力ご支援を賜りながら、老年期の認知症ならびに関連疾患に関する研究発表と情報交流を行うことを目的に、研究会の運営や研究会誌の発刊などを行ってまいりました。
昨年11月より40年目に入り、全7地区での総演題数は、1,056演題、計620名の先生方にご登壇いただき、参加者は延べ3万人以上になりました。
かつて日本では、高齢者の物忘れや混乱を「ボケ」と呼び、差別的に扱ってきました。
1980年代に入ると、当会創成期よりの世話人・長谷川和夫先生らによる「長谷川式簡易知能評価スケール」の開発など、医学的に評価・診断する仕組みが整い始めました。
2000年には「介護保険制度」が創設。
認知症患者及びその家族を、社会全体で支える仕組みへと変わりました。
2004年には「痴呆」という言葉が侮蔑的な表現である上に、実態を正確に表現できておらず、早期発見・早期診断等の取り組みの支障となっていることなどから、正式に廃止され、「認知症」と呼び直されることとなり、当会も2008年7月に名称変更(老年期痴呆研究会→老年期認知症研究会)の決定を行いました。
その後、2012年には、認知症施策推進5か年計画が公表され、2015年1月には、厚生労働省を中心とする12府省庁が共同「認知症施策推進総合戦略(通称:新オレンジプラン)」を策定しました。
2019年6月18日には、認知症施策推進関係閣僚会議において、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指すために、「認知症施策推進大綱」がとりまとめられ、2024年1月1日には、認知症の人が尊厳を保持し希望を持って暮らせる共生社会の実現を目的として認知症基本法が施行されました。認知症基本法では「当事者の参画」が謳われており、当事者が主体となって認知症施策を推進すること、例えば研究開発における当事者の参画なども期待されています。
このように、この40年で認知症を取り巻く環境は大きく変化してまいりましたが、かつて「痴呆」と呼ばれた時代から、現在の「認知症」に至るまで、病態、治療、そして社会的問題まで幅広く議論してきた当会は、臨床医にとっても研究者にとってもその他認知症にかかわる多くの職種にとっても意義のある会となり、一つの大きな領域を成し遂げたと自負しています。
最後となりました第39回老年期認知症研究会(写真)は、会場43名、オンライン282名の計325名の参加者を得ることができました。老年期痴呆研究会の時代より多くの皆様のご支援とご協力があったからこそ40年の長きにわたり継続してくることができました。
これまで当会を支え、発展にご尽力いただいた何代にもわたる世話人の先生方をはじめ、参加くださったすべての皆様と日本ケミファ株式会社に心から感謝いたします。
皆様の今後ますますの発展と認知症研究の発展を祈念して、最後の言葉としたいと存じます。どうもありがとうございました。
2026年7月吉日
老年期認知症研究会 第3代会長 鈴木則宏
就任挨拶

このたび、2017年7月29日に開催された第32回世話人会において会長に選任されました 慶應義塾大学医学部 神経内科 の鈴木則宏です。
本研究会は、「老年期の認知症ならびに関連疾患に関する研究発表と情報交換を行うこと」を目的に1986年に設立され、第1回研究会から認知症に関する最新の研究成果を発 表し、情報を発信してまいりました。
認知症は、現在世界で4,700万人以上の人々が直接的にその影響を受けており、2030年までに、7,500万人になると推計され、その数は2050年までに3倍になると考えられています。
また、2010年の認知症ケアに係る世界のコストは6,040億米ドル-世界のGDPの1%-と推計され、2030年には1.2兆米ドル以上とも推計されており、世界の社会的・経済的な成長を減速さ せる可能性があるといわれております。
わが国においても65歳以上の7人に1人、462万人が認知症で、2025年には5人に1人、
約700万人になると予想されています。MCI(軽度認知障害)を加えますと、現状では高齢者の4人に1人が
認知症又はその予備群と見込まれています。
2015年1月27日に発表された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では『認知症は
今や一般的な病気(Common Disease)であり、診療科を越えて連携して対応していく必要が
ある』と発表されました。
本研究会は1986年の研究会発足当時は医師および研究者の会員向けの会でしたが、このような背景から昨年の第30回研究会からは従来の医師および研究者に加え、メディカルスタッフも対象 にした研究発表の場になりました。
今後、本研究会が専門の垣根を超え、認知症を支える様々な職種との情報交換の場となり、認 知症研究および診療の更なる発展に寄与することを目指にしたいと思います。皆様のご参画・ご協 力をよろしくお願い申し上げます。
2017年8月吉日
老年期認知症研究会 会長 鈴木則宏
